《自筆証書遺言の日付について ~令和3年1月判例より~》

『自筆の遺言書に記された日付と押印日が異なる場合に、遺言は無効か有効か』で争われた訴訟の判決がありました。最高裁小法廷は、第2審判決では無効の判決であったものを破棄し、高裁に差し戻し、改めて調べるように命じました。

簡単に言うと、「遺言書を作成した日付と押印した日付が異なっていても、事実関係によっては有効とされる可能性がある。」ということです。

 

遺言書において、日付の記載が重要なのは、いつの遺言なのかを明確にしないといけないからです。例えば、「○年○月吉日」では明確とは言えず、折角の遺言が無効になってしまいます。

 

このケースは、遺言は押印によって成立するのに、その押印日と遺言を遺した日付が異なるためにこのような訴訟になってしまいました。裁判所は、厳格に判断しすぎると、遺言者の意志が尊重されないという判断を示しましたが、無用な争いを避けるためにも遺言書の日付は

・遺言書の全文の自書(財産目録は自書でなくても可)

・遺言者氏名の自書

・押印

のすべてが揃う日を記入すべきです。

 

自筆証書遺言は手軽に遺すこともでき、改正により方式も緩和されていますが、確実に相続させたい、遺贈したいという場合は一度専門家に相談することをおすすめいたします。