【法人設立】会社を作ろう!(LLP~有限責任事業組合~編)

 

お客様から「会社を作ろうと思っているのだけど、いろいろ種類があってどの形態にしたらいいのか分からない・・・」そんなご相談をいただくことがあります。

 

主な法人形態としては「株式会社」や「合同会社(LLC)」を説明させていただくことが多いのですが、「LLP」という形態についてご質問をいただきましたので、簡単にまとめてみたいと思います。

 

LLPとは《リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ》の略称であり、日本語では「有限責任事業組合」と呼ばれる組織形態のことです。1990年代にアメリカで生まれ、その後先進国・新興国に広がり、日本でも2005年から制度適用されています。

 

大きな特徴は3つ

有限責任:出資者(組合員)が出資額の範囲までしか事業上の責任を負わない

※出資者(組合員)にかかる事業上のリスクが限定される

 

内部自治原則:組織内部のルールが、法律によって詳細に定められるのではなく、出資者(組合員)同士の合意のより決定できる

※出資者(組合員)が自ら経営を行い、利益や損失の配分等を柔軟に決められる

 

構成員課税:組織段階では課税せず、出資者(組合員)に直接課税する仕組み

※株式会社のように法人税を課された上に、利益配分(配当)にも課税されることはない

 

LLPはその特徴から新規創業の促進大手企業同士の連携による共同事業に向いています。

 

実際に存在するLLPで有名なのは東日本旅客鉄道㈱、㈱NTTドコモ、㈱NTTデータを組合員とする「Suica普及有限責任事業組合」です。スイカペンギンのおなじみのSuica電子マネーの普及促進を目的とした共同事業の実現に向けて設立したLLPです。

 

LLPとLLCの類似点と相違点を比較するとLLPの具体的な内容が分かりやすくなるので、以下にまとめてみました。

 

LLP LLC
法人格 なし あり
課税 構成員課税 法人税
事業体の財産の帰属 組合員の合有 会社に帰属
構成員の最低人数 2名 1名
業務執行 全組合員が何らかの業務を執行 業務執行社員の選任が可能
株式会社への組織変更 不可能 可能
IPO(株式公開) 不可能 株式会社に組織変更すれば可能
存続期間 有期 存続期間の定めなし

 

LLPは「資金を出したものが、その資金に応じた配分を得る」という従来の組織形態とは異なり、権限や利益の柔軟な配分を可能にした「人的資産」を重視した会社制度と言えます。

 

LLPは少し変わった組織形態ですが、ビジネスを成功させるためには、ご自分のビジネスプランに合った組織形態を選ぶことが大切です。