【FPの目線】2022年度税制改正②賃上げ税制に係る改正

 

こんにちは。

ファイナンシャルプランナーの秋元です。

 

2022年度税制改革では、相続税と贈与税の一体化や金融所得課税の強化等といった抜本的な改革の検討は先送りされたものの、「成長と分配の好循環の実現」等の方針に基づき、改正項目が取りまとめられました。

 

この中で今回は②賃上げ税制に係る改正についてです。

 

国が掲げる「成長と分配の好循環」を具体化する目玉の改革として、いわゆる「賃上げ税制」についても見直しが実施されました。

 

特に大企業向けには要件が変更される一方、人材投資促進の観点から最大税額控除割合が拡大されました。

 

 

  • 人材確保等促進税制の見直し(大企業向け)→改正

 

【ポイント】

★適用要件の判定を新規雇用者に対して支給する給与等の増加割合(前年度比2%以上)から、継続雇用者に対して支給する給与等の増加割合(前年度比3%以上)へ変更

 

★税額控除割合が一定の雇用者給与等支給増加額の最大30%に拡大

 

(例)継続雇用者の給与総額を4%以上に増やし、教育訓練費を20%以上増やした場合、控除対象雇用者給与等支給増加額の最大30%の税額控除が可能になります。

 

 

  • 所得拡大促進税制の延長・見直し(中小企業向け)→延長・改正

 

【ポイント】

★適用期限を2024年3月31日までに開始する各事業年度と1年間延長

 

★最大税額控除割合が雇用者給与等支給増加額の40%に拡大

 

(例)雇用者全体の給与等支給額が前年度比2.5%以上に増加するだけで税額控除割合15%加算、また教育訓練費の額が前年度比で10%以上増加するだけで税額控除割合10%加算と要件が緩和

 

 

適用期間は、いずれも2022年4月1日から2024年3月31日までの間に開始する各事業年度です。

 

 

今回の税制改革では、賃上げおよび投資に消極的な大企業へのペナルティも強化されています。

適正な形で「成長と分配の好循環」を図っていく狙いがうかがえます。

 

次は、①住宅ローン控除、②賃上げ税制以外の③そのほか知っておくべき改正についてです。