【2026年最新】東京の民泊規制が厳格化|豊島区・新宿区・文京区など条例改正の動きを解説

こんにちは。行政書士の秋元です。
「最近、東京では民泊の規制が厳しくなっていると聞いたけれど、本当?」
「これから民泊を始めようと思っているけれど、今までと同じように営業できるの?」
「すでに営業している民泊にも、新しい条例は適用される?」
東京都内で民泊を検討している方の中には、このような疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
ここ最近、東京都内では、住宅宿泊事業、いわゆる「民泊」に対する条例を厳しくする動きが相次いでいます。
特に2025年から2026年にかけて、豊島区、渋谷区、台東区、墨田区などでは、住宅宿泊事業に関する条例の新設・改正が進められています。
また、新宿区では2026年9月、住居系用途地域での新規民泊を原則禁止するなど、さらに踏み込んだ規制方針が公表されました。
一方、文京区のように、以前から区内の広い範囲で民泊の営業日を制限している自治体もあります。
「東京23区なら、どこでも同じルールで民泊ができる」わけではありません。
今回は、2026年9月21日時点で各自治体が公表している情報をもとに、豊島区・新宿区・文京区を中心として、東京都内で進んでいる民泊規制の動きを整理します。
※この記事では、主に住宅宿泊事業法に基づく「住宅宿泊事業」、いわゆる「新法民泊」について解説します。旅館業法に基づく簡易宿所などについては、別の基準や条例が適用されます。
今回の記事のポイント
- 民泊は「年間180日まで」なら、どこでも営業できるわけではない
- 豊島区では2026年12月から区域・営業期間の規制が大きく変わる
- 新宿区では住居系用途地域で新規民泊を原則禁止する方針が示されている
- 文京区ではすでに区内の広い範囲で平日の営業が制限されている
- 渋谷区・台東区・墨田区でも規制強化が進んでいる
- これから民泊を始める場合は、物件契約前の条例確認が重要
そもそも民泊は「年間180日営業できる」とは限りません
住宅宿泊事業法では、住宅宿泊事業として人を宿泊させることができる日数は、原則として年間180日以内とされています。
そのため、
「民泊の届出をすれば、年間180日までならどこでも営業できる」
と思われることがあります。
しかし、実際にはそうではありません。
住宅宿泊事業法では、住宅宿泊事業によって生活環境が悪化することを防止する必要がある場合、自治体が条例によって区域を定めて、住宅宿泊事業を実施できる期間を制限することが認められています。
そのため、東京23区でも自治体によって、
- 平日は営業できない
- 特定の用途地域では営業できる期間が大幅に少ない
- 新しく民泊を始めること自体が制限される
- 既存の民泊にも新しい規制が適用される
といった違いがあります。
まず知っておきたいこと
住宅宿泊事業法の「年間180日」は上限です。
実際に何日営業できるのかは、物件所在地の自治体条例を確認する必要があります。
そして最近、この自治体独自の規制をさらに厳しくする動きが広がっています。
豊島区|2026年12月から民泊規制を大幅に強化
まず、大きな変更が予定されているのが豊島区です。
豊島区では、「豊島区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例」が改正されました。
特に重要なのが、営業できる区域と期間に関する規制です。
区域・期間の制限については、2026年12月16日から適用されます。
区内全域で営業できる期間を年間120日に制限
改正後は、豊島区内全域で住宅宿泊事業を実施できる期間が年間120日に限定されます。
営業できる期間は、次のとおりです。
- 春休み:3月15日から4月10日まで
- 夏休み:7月1日から8月31日まで
- 冬休み:12月15日から1月14日まで
しかも、この期間制限は、すでに届出をして営業している民泊にも適用されます。
注意
豊島区では、「条例改正前から営業しているから、これまでどおり年間180日営業できる」とは限りません。
既存の届出住宅についても、2026年12月16日から新しい期間制限が適用されます。
新規民泊は区内約70%のエリアで制限
さらに、新たに民泊を始める場合、
- 住居専用地域
- 住居地域
- 準工業地域
- 文教地区
では、住宅宿泊事業の実施が制限されます。
豊島区によると、この対象区域は区内のおよそ70%に及びます。
そのため、これから豊島区で民泊を始めようと考えている場合は、
「物件を契約してから民泊ができるか調べる」のではなく、「契約前に用途地域を確認する」ことが非常に重要
です。
周辺住民への説明など手続面も厳しくなります
豊島区の条例改正では、営業日数だけでなく、事業者側の手続も強化されています。
例えば、
- 周辺住民への事前説明会
- 海外在住事業者について日本国内に居住する代理人の選定
- 町会加入についての協議
- トラブル発生時の話し合いの場の設定
などが盛り込まれています。
また、区域・期間制限に違反した場合には、指導・勧告・公表に加えて、5万円以下の過料に関する規定も設けられています。
新宿区|住居系地域では新規民泊を原則禁止する方針
新宿区については、現在のルールと、今後予定されている改正内容を分けて考える必要があります。
2026年9月8日、新宿区は住宅宿泊事業や旅館業について、規制をさらに強化する方針を公表しました。
住居系用途地域では新規民泊を原則禁止
新宿区が公表した方針では、住宅宿泊事業について、
住居系用途地域では、住宅宿泊事業の新設を原則として禁止する方針
が示されています。
さらに、商業系用途地域についても、住宅宿泊事業法上の年間180日ではなく、年間120日までに制限する方針です。
既存の民泊にも適用する方針
特に注意したいのが、すでに営業している施設です。
新宿区では、施行後に2年間の経過措置を設けたうえで、既存施設にも新しい規制を適用する方針を示しています。
つまり、
「今のうちに届出をしておけば、ずっと現在のルールで営業できる」
とは限りません。
現時点ではまだ「改正方針」です
2026年9月21日時点では、新宿区で住居系用途地域の新規民泊がすでに全面禁止されたわけではありません。
今後、条例改正手続が進められる予定です。
現在の新宿区では、住居専用地域について、月曜日の正午から金曜日の正午まで住宅宿泊事業を実施できません。
新宿区でこれから民泊を検討する場合は、条例改正の進行状況を確認しながら事業計画を立てる必要があります。
文京区|すでに区内の広い範囲で平日の営業を制限
文京区については、最近突然規制が厳しくなったというよりも、もともと比較的厳しい民泊規制を設けている自治体です。
文京区では、
- 住居専用地域
- 住居地域
- 準工業地域
- 文教地区
について、日曜日の正午から金曜日の正午まで住宅宿泊事業を行うことができません。
文京区によると、この制限区域は区内のおよそ70%です。
そのため、対象地域では基本的に週末を中心とした営業になります。
文京区で注意したいポイント
「年間180日まで営業できる」という数字だけで収益計画を立てないことが重要です。
物件がどの用途地域にあるのかによって、実際に営業できる曜日が大きく変わります。
文京区でも規制対象地域の拡大を研究
2026年3月、文京区には区民から民泊規制の拡大を求める意見が寄せられています。
これに対して文京区は、
- 現在規制対象外となっている地域の状況
- 住宅宿泊事業の実態
- 国の動向
- 他自治体の動向
などを確認しながら、規制対象地域の拡大等の必要性について研究するとしています。
現時点で追加規制が決まっているわけではありませんが、今後の動向には注意が必要です。
渋谷区|2026年7月から制限区域を拡大
渋谷区でも、2026年に住宅宿泊事業に関する条例等が改正されています。
2026年7月1日以降に届出を行う住宅について、新しいルールが適用されました。
第一種住居地域なども制限区域に
これまでの文教地区や低層・中高層住居専用地域などに加えて、
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域
も制限区域に追加されました。
対象区域では条例による期間制限があり、通常の場合、営業可能日は年間63日となります。
周辺住民への周知が「7日前」から「60日前」に
実務上、大きな変更となったのが周辺住民等への事前周知です。
従来は届出予定日の7日前までとされていたものが、改正後は60日前までとなりました。
さらに、廃棄物処理業者との契約書等の写しなど、提出書類も追加されています。
注意
「物件を契約して、すぐに届出をして営業を始める」というスケジュールは組みにくくなっています。
渋谷区で新たに民泊を始める場合は、事前周知期間も含めて準備する必要があります。
なお、2026年6月30日以前に届出を行った住宅については、原則として改正前の区域・期間制限が適用されます。
台東区|2026年10月から新規民泊の平日営業を制限
台東区でも条例改正が行われ、2026年10月1日から新しいルールが施行されます。
2026年10月1日以降に届出を行う住宅については、家主居住型・家主不在型を問わず、平日の営業が制限されます。
一方で、2026年9月30日までに受理された既存施設については、この営業期間制限の対象外とされています。
同じ東京23区でも、
- 既存施設にも新しい規制を適用する自治体
- 新規届出施設を中心に規制する自治体
があり、経過措置の内容は異なります。
住居専用地域・文教地区ではさらなる規制の動きも
台東区は2026年9月、さらに民泊規制を強化するため、住居専用地域と文教地区について、2027年1月以降の新たな営業を禁止する内容の条例改正議案を区議会に提出しています。
2026年9月21日時点では議案段階です
すでに新しい禁止規定が施行されているという意味ではありません。
今後の条例の成立状況や施行内容を確認する必要があります。
墨田区|2026年4月から新条例を施行
墨田区では、2026年4月1日から住宅宿泊事業に関する新しい条例が施行されています。
2026年4月1日以降に届出が受理された住宅では、原則として、
日曜日の正午から金曜日の正午まで、住宅宿泊事業を実施することができません。
ただし、届出住宅内などに管理者が常駐する場合には例外があります。
墨田区では、条例による営業期間の制限だけでなく、
- 環境衛生監視員などによる巡回
- 行政処分等の運用強化
- 「すみだ民泊総合窓口」の開設
など、民泊に対する監視・相談体制も強化されています。
民泊規制は「何曜日に営業できるか」だけではなく、営業開始後に適切な管理ができているかという点まで重視される方向に進んでいます。
なぜ東京で民泊の規制が厳しくなっているのか
各自治体が公表している資料を見ると、民泊をめぐる課題として、
- 宿泊者による騒音
- ごみの不適切な排出
- 近隣住民とのトラブル
- 事業者と連絡が取れないケース
- 無届営業
などが挙げられています。
また、東京23区では住宅宿泊事業の届出住宅が多く、新宿区が2026年6月に公表した資料では、特別区の届出住宅数が全国の4割以上を占めているとされています。
さらに2026年には、特別区長会で賛同した21区の区長が連名で、国土交通省に住宅宿泊事業制度の適正化を求める要望書を提出しています。
つまり、現在の規制強化は、豊島区や新宿区だけに限った話ではありません。
今後も条例改正に注意が必要です
東京23区では、民泊の営業状況や近隣トラブルなどを踏まえ、今後も条例や運用が見直される可能性があります。
数年前に確認した情報をそのまま使わず、実際に民泊を始める時点で最新情報を確認することが大切です。
民泊を始めるなら「物件契約前」の確認が重要です
これから民泊を始める場合に、特に注意したいのが、
「物件を借りてから、民泊ができるか確認する」
という進め方です。
住宅宿泊事業では、住宅宿泊事業法だけを確認すればよいわけではありません。
例えば、
- 自治体条例による区域・営業期間の制限
- 用途地域
- マンションの管理規約
- 賃貸借契約や転貸の可否
- 消防関係の手続
- ごみ・廃棄物の処理方法
- 周辺住民への事前周知
など、複数の事項を確認する必要があります。
さらに、今回ご紹介したように、条例改正前から営業している施設をどのように扱うかについても、自治体ごとに違います。
豊島区のように既存施設にも新しい期間制限を適用する自治体もあれば、渋谷区や台東区のように一定の既存施設について従来のルールを適用する自治体もあります。
注意
「隣の区では営業できたので、この区でも大丈夫だろう」と判断するのは危険です。
同じ東京都内でも、物件所在地によって営業できる日数や手続が大きく異なる場合があります。
民泊物件を契約する前に確認したいこと
これから民泊用の物件を探す場合は、少なくとも次の点を確認しておくとよいでしょう。
- その自治体で住宅宿泊事業ができるか
- 物件の用途地域は何か
- 条例による営業日・営業期間の制限があるか
- 管理規約で民泊が禁止されていないか
- 賃貸物件の場合、所有者から民泊利用の承諾を得られるか
- 消防設備について追加対応が必要か
- 周辺住民への説明や周知が必要か
- 営業開始までどの程度の期間が必要か
民泊を始める前に、物件の確認はできていますか?
「この物件で民泊を始められる?」
「用途地域の見方が分からない」
「条例改正後も営業できるのか確認したい」
「住宅宿泊事業と旅館業のどちらがよいか分からない」
民泊は、物件を契約してから確認するのではなく、契約前の段階で法令・条例・用途地域などを整理することが大切です。
「新法民泊が難しいなら旅館業にすればよい」とも限りません
民泊の規制が厳しくなると、
「住宅宿泊事業が難しいなら、簡易宿所などの旅館業許可を取ればいいのでは?」
と考える方もいるかもしれません。
しかし、住宅宿泊事業と旅館業は別の制度です。
旅館業では、
- 用途地域
- 建築基準
- 消防設備
- 施設基準
- 自治体独自の条例
などを確認する必要があります。
また、最近の条例改正では、住宅宿泊事業だけではなく、旅館業についても同時に規制を見直している自治体があります。
そのため、
- 住宅宿泊事業として届出をするのか
- 旅館業の許可を検討するのか
- そもそもその物件で宿泊事業を行うことができるのか
という段階から確認しておくことが大切です。
よくある質問
Q.住宅宿泊事業の届出をすれば年間180日営業できますか?
A.必ず180日営業できるわけではありません。
年間180日は住宅宿泊事業法上の上限です。
自治体の条例によって区域や営業できる期間が制限されている場合には、その条例に従う必要があります。
Q.すでに民泊を営業していれば、新しい条例は関係ありませんか?
A.自治体によって異なります。
例えば豊島区では、営業期間に関する新しい規制が既存の届出住宅にも適用されます。
一方、渋谷区や台東区では、届出時期によって経過措置が設けられています。
そのため、いつ届出をしたのかも含めて確認する必要があります。
Q.同じ建物なら、隣の区でも同じように民泊できますか?
A.自治体が変われば条例も変わります。
東京都23区でも、営業可能日、制限区域、事前周知、必要書類などは異なります。
物件所在地の自治体のルールを個別に確認してください。
Q.物件を借りてから民泊の届出をすればよいですか?
A.できれば契約前の確認をおすすめします。
用途地域や条例、管理規約などによって民泊が難しい場合があります。
契約後に民泊ができないことが分かると、家賃や初期費用など大きな負担につながる可能性があります。
まとめ|東京の民泊は「180日」だけを見て判断しないことが大切です
東京都内では、住宅宿泊事業に対する自治体独自の規制が大きく変化しています。
豊島区では2026年12月から営業期間が区内全域で年間120日に制限され、新規民泊については区内約70%の地域で大きな制限が始まります。
新宿区では、住居系用途地域で新規民泊を原則禁止し、商業系用途地域についても年間120日に制限する方針が示されています。
文京区では、すでに区内の広い範囲で平日の営業が制限されています。
また、渋谷区・台東区・墨田区でも、新しい条例や規制が相次いでいます。
民泊を検討するときは、「住宅宿泊事業法上できるか」だけではなく、「その物件所在地の最新条例ではできるのか」まで確認することが重要です。
特に最近は条例改正が相次いでいるため、数か月前に調べた情報が現在もそのまま使えるとは限りません。
物件取得や賃貸借契約を行う前に、最新の条例、用途地域、営業期間、必要手続などを確認することをおすすめします。
エール行政書士法務事務所
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出典:
台東区「住宅宿泊事業(民泊)における台東区の条例を改正しました」
新宿区「特別区長会の有志の区長が国土交通省に『住宅宿泊事業の適正化に関する要望書』を提出」
※本記事は2026年9月21日時点で国・各自治体が公表している情報をもとに作成しています。条例の成立・施行時期、対象区域、経過措置、運用等は今後変更される可能性があります。実際に住宅宿泊事業や旅館業を検討する際には、各自治体の最新情報をご確認ください。