【FPの目線】2022年度税制改正③そのほか知っておくべき改正(個人向け税制)
こんにちは。
ファイナンシャルプランナーの秋元です。
2022年度税制改革では、相続税と贈与税の一体化や金融所得課税の強化等といった抜本的な改革の検討は先送りされたものの、「成長と分配の好循環の実現」等の方針に基づき、改正項目が取りまとめられました。
この中で今回は③そのほか知っておくべき改正(個人向け税制)についてです。
個人向け税制では、子・孫世代の住宅取得を支援する住宅取得等資金の贈与税の非課税措置の延長等が盛り込まれました。
- 住宅取得等資金の贈与税の非課税措置の延長等→延長・改正
【ポイント】
★適用期限を2023年12月31日まで2年間延長
★取得時の消費税率や契約時期にかかわらず住宅性能に応じた非課税限度額の見直し
★中古住宅の要件について築年数要件を廃止され、新耐震基準に適合している住宅家屋であることに変更
★受贈者の年齢要件を引き下げ(18歳以上)
- 認定住宅等の新築等をした場合の所得税額の特別控除の延長・見直し→延長・改正
【ポイント】
★税額控除の特例措置について適用期限が2年間延長
★対象住宅にZEH水準省エネ住宅を追加
控除対象限度額は650万円、控除率はその10%。
2023年12月31日までの間に居住した場合に適用
- 相続人申告登記に係る登録免許税の非課税措置→改正
【ポイント】
★不動産登記法の改正により相続登記の申請義務化が施行(2024年4月以降)
相続人申告登記に係る登録免許税について非課税措置を適用。
所有者不明土地の増加を背景に、不動産登記法が改正されました。
その内容は、相続や遺贈により不動産を取得した相続人に対し、相続の開始があったことを知り、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請を義務化。正当な理由なく申請を怠った場合には、10万円以下の過料が科せられます。
しかし、3年以内に遺産分割が成功しないこと等も考えられます。
そこで相続人が登記官に対し、所有権の登記名義人について相続が発生したことと自らが相続人である旨を相続登記の申請義務履行期間内(3年以内)に申し出ることで義務を履行したものとみなす『相続人申告登記』制度があります。
この登録免許税が非課税になるということです。
- 上場株式等の配当所得等の大口株主の要件見直し→改正
【ポイント】
★持株割合が3%未満の上場株式等の個人株主でも。同族会社である法人との合計で持株割合が3%以上となる場合、その個人株主が支払いを受ける配当が総合課税の対象になります。
適用時期:2023年10月1日以後に支払われる上場株式等の配当等について適用
- 上場株式等の配当所得等に係る課税方式選択の見直し→改正
【ポイント】
★上場株式等の配当所得等に係る所得税と住民税について異なる課税方式の選択が不可に。
適用時期:2023年分の所得税、2024年度分の住民税から適用
- 財産債務調書制度の見直し
財産債務調書制度とは、確定申告書を提出する際に、所得基準と財産基準を満たす場合に、保有している財産や債務を記載した書類を、所轄税務署に提出しなければならない制度です。
【ポイント】
★提出義務者の範囲拡大。所得金額が2,000万円以下でもその年の12月31日において10億円以上の財産を有すれば提出を義務化。
★提出期限の延長
★記載省略資産の要件見直し(100万円→300万円)
適用期間:2023年分以後の財産債務調書について適用
次は、④そのほか知っておくべき改正(事業者向け税制)についてです。