【令和8年6月12日更新】在留資格「経営・管理」大改正Q&Aを徹底解説 これからの外国人経営者に求められる新基準とは?

 

こんにちは。申請取次行政書士の秋元です。

 

在留資格「経営・管理」について、上陸基準省令等の大きな改正が行われ、令和7年10月16日に施行されました。

 

今回の改正では、外国人による日本での起業・会社経営について、これまでよりも厳格な基準が設けられています。

 

特に影響が大きいのは、次のような点です。

 

  • 資本金等3,000万円以上が必要になること
  • 常勤職員1名以上の雇用が必須になること
  • 申請者または常勤職員に一定の日本語能力が求められること
  • 経営経験または学位等の要件が追加されること
  • 事業計画書について専門家の確認が必要になること

 

ポイント:
今回の改正は、これから「経営・管理」ビザを取得したい方だけでなく、すでに「経営・管理」で在留している方の更新にも関係する重要な内容です。

 

この記事では、出入国在留管理庁が公表している改正内容とQ&Aをもとに、特に実務上注意したいポイントをわかりやすく解説します。

 

※本記事の引用元:
出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html

 

「経営・管理」ビザは何が変わったのか

 

これまでの「経営・管理」では、事業規模について、主に次のような基準が用いられていました。

 

資本金500万円以上
または
常勤職員2名以上

 

しかし、改正後は次のように大きく変わります。

 

項目 改正前 改正後
資本金要件 500万円以上 3,000万円以上
常勤職員 資本金要件との代替要件 1名以上の雇用が必須
日本語能力 不要 申請者または常勤職員に必要
経歴・学歴 原則不要 原則3年以上の経営・管理経験、または一定の学位等
事業計画書 専門家確認は不要 専門家による確認が必要

 

注意:
単なる書類の追加ではなく、「経営・管理」ビザ全体の審査基準が大きく引き上げられた改正といえます。

 

Q&Aで明確になった重要ポイント

 

① 「常勤職員」は誰でもよいわけではありません

 

今回の改正で、会社等において1人以上の常勤職員を雇用することが必要になりました。

 

ただし、ここでいう「常勤職員」は、誰でもよいわけではありません。

 

常勤職員として対象になる人
  • 日本人
  • 特別永住者
  • 永住者
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者

 

常勤職員として対象にならない人
  • 技術・人文知識・国際業務
  • 技能
  • 特定技能
  • 技能実習
  • その他、法別表第一の在留資格をもって在留する外国人

 

わかりやすくいうと:
外国人従業員を雇っていればよい、ということではありません。雇用している方の在留資格まで確認する必要があります。

 

② 「常勤職員」と「日本語能力要件」は分けて考える必要があります

 

Q&Aでは、「常勤職員の雇用」と「日本語能力要件」の関係について、具体例が示されています。

 

基準を満たす例

  • 日本人または特別永住者を1名以上、常勤職員として雇用
  • 永住者等を1名雇用し、その人が日本語能力を立証できる場合
  • 永住者等1名に加え、日本語能力を立証できる就労ビザ外国人を雇用している場合

基準を満たさない例

  • 就労ビザ外国人のみを雇用している場合
  • 永住者等の常勤職員はいるが、日本語能力の立証がない場合

 

実務上の注意:
「常勤職員としてカウントできる人」と「日本語能力を立証する人」は、必ずしも同じ考え方ではありません。組み合わせによって判断が変わるため、個別確認が必要です。

 

③ 常勤職員の具体的な判断基準

 

Q&Aでは、常勤職員に該当するかどうかについて、勤務日数や勤務時間、雇用保険加入などの観点が示されています。

 

  • 週労働時間が30時間以上であること
  • 労働日数が週5日以上であること
  • 年間217日以上勤務すること
  • 雇用保険の被保険者であること
  • 年次有給休暇の付与対象であること

 

また、次のような形態で働く人は、常勤職員として扱うことはできません。

 

  • 派遣社員
  • 請負スタッフ
  • 在籍出向者

 

ポイント:
実際にその会社が直接雇用し、継続的・安定的に勤務していることが重要です。

 

④ 資本金3,000万円は「純粋な資本金等」で判断されます

 

法人の場合、3,000万円以上の事業規模については、次の金額で確認されます。

 

  • 株式会社:払込済資本の額、つまり資本金の額
  • 合同会社等:出資の総額

 

一方で、次のようなものを合算して3,000万円とすることはできません。

 

  • 資本準備金
  • 資本剰余金
  • 利益剰余金
  • 従業員の給与額
  • 事務所の維持費

 

注意:
法人の場合は、事務所家賃や人件費を含めて3,000万円に達していればよい、という考え方ではありません。

 

⑤ 管理者として活動する場合でも3,000万円要件は必要です

 

「自分は代表取締役ではなく、管理者として活動するだけなので、資本金要件は不要ではないか」という疑問もあります。

 

しかし、Q&Aでは、管理者として活動する場合でも資本金等の要件を満たす必要があるとされています。

 

つまり:
役職名が「経営者」か「管理者」かではなく、その事業自体が新基準を満たしているかが確認されます。

 

⑥ 日本語能力はCEFR B2相当以上が必要です

 

日本語能力については、申請者または常勤職員のいずれかが、相当程度の日本語能力を有していることが必要とされています。

 

求められる水準は、CEFR B2相当以上です。

 

証明方法の例

  • 日本語能力試験、JLPT N2以上
  • BJTビジネス日本語能力テスト400点以上
  • 中長期在留者として20年以上日本に在留していること
  • 日本の大学等高等教育機関を卒業していること
  • 日本の義務教育を修了し、高等学校を卒業していること

 

補足:
日本の専門学校についても、一定の場合には高等教育機関に含まれるとされています。ただし、外国語による授業を恒常的に行う課程や通信課程などは除かれる場合があります。

 

⑦ 事業計画書は専門家による確認が必要になります

 

改正後は、事業計画書について、その計画に具体性・合理性・実現可能性があるかを、経営に関する専門的な知識を有する者が確認することとされています。

 

施行日時点では、次の資格者が該当するとされています。

 

  • 中小企業診断士
  • 公認会計士
  • 税理士

 

注意:
申請人が経営する会社の役員や従業員は、客観性確保の観点から評価者として認められません。外部顧問の公認会計士や税理士は、評価者として差し支えないとされています。

 

⑧ 自宅兼事務所は原則として認められません

 

改正後は、3,000万円以上の事業規模に応じた経営活動を行うための事業所を確保する必要があります。

 

そのため、Q&Aでは、自宅を事業所と兼ねることは原則として認められないとされています。

 

実務上のポイント:
今後は、独立した事業所の確保がより重要になります。バーチャルオフィスや自宅兼事務所での申請は、これまで以上に慎重な確認が必要です。

 

⑨ 長期間の海外滞在は更新時に不利になる可能性があります

 

在留期間中、正当な理由なく長期間出国している場合、日本での活動実態がないものとして、在留期間更新許可が認められない可能性があります。

 

Q&Aでは、一般論として、決定された在留期間のうち、累計で過半を超える期間を出国している場合、正当な理由があるときを除き、更新審査で消極的な要素として評価されるとされています。

 

つまり:
経営者であっても、日本国内で実際に経営活動を行っていることが重要です。

 

⑩ 経営活動の実態も厳しく確認されます

 

Q&Aでは、経営者としての活動実態が十分に認められないケースとして、次のような例が示されています。

 

  • 業務の大半を外部に委託している
  • 申請人本人が日常的に経営活動を行っていない
  • 具体的な事業内容を把握していない
  • 財務状況など、経営者として本来把握すべき情報を把握していない

 

注意:
名目的な代表者や、実質的に経営に関与していない状態では、「経営・管理」に該当する活動とは認められない可能性があります。

 

現在「経営・管理」で在留している方への経過措置

 

すでに「経営・管理」で在留している方については、令和10年10月16日までの間、経過措置があります。

 

この期間中の更新申請については、改正後の基準に適合していない場合であっても、経営状況や改正後の基準に適合する見込み等を踏まえて許否判断が行われるとされています。

 

ポイント:
現時点で新基準を満たしていないからといって、直ちに更新不許可になるとは限りません。

 

ただし、令和10年10月16日以降の更新申請では、原則として改正後の基準に適合する必要があります。

 

早めに確認したいこと:

  • 資本金等3,000万円の準備ができるか
  • 対象となる常勤職員を雇用できるか
  • 日本語能力要件を誰が満たすか
  • 事業計画書の専門家確認をどう進めるか
  • 事業所が新基準に照らして問題ないか

 

よくある質問

 

Q. 外国人従業員を雇っていれば、常勤職員要件を満たしますか?

 

A. いいえ。常勤職員として対象になるのは、日本人、特別永住者、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者に限られます。

 

技術・人文知識・国際業務、技能、特定技能、技能実習などの在留資格を持つ外国人は、常勤職員要件の対象にはなりません。

 

Q. 日本人を1名雇用していれば、日本語能力要件も満たしますか?

 

A. 日本人または特別永住者を常勤職員として雇用している場合は、日本語能力要件との関係でも基準を満たす例として示されています。

 

ただし、実際の申請では、雇用実態や常勤性を示す資料も必要になります。

 

Q. 資本金3,000万円に、家賃や人件費を含めてもよいですか?

 

A. 法人の場合はできません。

 

法人の場合は、株式会社であれば資本金の額、合同会社等であれば出資の総額で判断されます。従業員の給与や事務所維持費などを合算して3,000万円とすることはできません。

 

Q. 自宅兼事務所でも申請できますか?

 

A. 改正後の基準では、自宅を事業所と兼ねることは原則として認められないとされています。

 

事業規模に応じた経営活動を行うために必要かつ十分な事業所を確保する必要があります。

 

Q. すでに「経営・管理」で在留している場合、すぐに新基準を満たす必要がありますか?

 

A. 令和10年10月16日までの間は経過措置があります。

 

ただし、改正後の基準に適合する見込みや経営状況等を踏まえて判断されます。将来的には新基準への対応が必要になるため、早めの準備が重要です。

 

まとめ

 

今回の改正により、在留資格「経営・管理」は、従来よりも大幅に厳格化されました。

 

特に重要なポイントは、次のとおりです。

 

  • 常勤職員1名以上の雇用が必須
  • 常勤職員として対象になる人は限定される
  • 資本金等3,000万円以上が必要
  • 法人の場合、資本金や出資総額で判断される
  • 申請者または常勤職員にCEFR B2相当以上の日本語能力が必要
  • 事業計画書について専門家確認が必要
  • 自宅兼事務所は原則不可
  • 長期出国や経営実態の不足は更新時に不利になる可能性がある

 

今後の対応:
これから日本で起業・会社経営を予定している方はもちろん、すでに「経営・管理」で在留している方も、自社の状況が新基準に適合するか早めに確認しておくことをおすすめします。

 

参考資料・引用元

 

 


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