過去のビザ申請書類を確認したいときは?「保有個人情報開示請求」を分かりやすく解説

 

こんにちは。

申請取次行政書士の秋元です。

「昔、自分が入管にどんな書類を出したのか分からない」

「前回のビザ申請は別の人にお願いしたので、申請内容を確認できない」

「以前の申請内容と、今回の申請内容が違ってしまわないか心配」

このような場合に検討したいのが、出入国在留管理庁に対する「開示請求」です。

普段あまり聞き慣れない手続ですが、在留資格の申請では、過去に入管へ提出した内容が後の申請に関係することがあります。

特に、

  • 過去の申請書類が手元に残っていない
  • 以前の申請を自分で作っていない
  • 転職や結婚などを繰り返しており、過去の申告内容を確認したい
  • 新しい在留資格申請の前に、過去との整合性を確認したい

といった場合には、開示請求が役立つことがあります。

この記事では、こんなことを解説します

  • 入管の開示請求とは何か
  • どんなときに使うのか
  • 請求のやり方
  • 不許可後に何が分かるのか
  • 全部開示されるのか
  • 行政書士として注意したいポイント

そもそも「開示請求」とは?

出入国在留管理庁では、本人について保有している個人情報について、個人情報保護法に基づき開示を請求することができます。

地方出入国在留管理官署に対して過去に在留資格関係の手続をした場合、その際に提出した資料など、入管が保有している本人の個人情報について開示を求めることができます。

簡単にいうと、
「以前、私は入管に何を提出して、どのような内容を申告していたのか確認したい」
というときに利用できる制度です。

ただし、「入管が持っている資料なら何でも見られる」という制度ではありません。

本人の保有個人情報が対象であり、一定の情報については不開示になったり、一部が黒塗りになった状態で開示されたりすることがあります。

どんなときに開示請求が必要になる?

開示請求は、すべての在留資格申請で必要なものではありません。

自分で過去の申請書類をきちんと保存しており、内容も確認できるのであれば、通常は改めて開示請求をする必要はありません。

一方、次のような場合には検討する価値があります。

1.過去の申請書類が手元にない

よくあるのが、

「何年も前の申請なので書類を捨ててしまった」

「昔の申請書のコピーを取っていなかった」

というケースです。

在留資格の申請では、現在の状況だけではなく、過去にどのような申告をしていたかが重要になる場合があります。

例えば、

  • 学歴
  • 職歴
  • 入社・退職時期
  • 家族関係
  • 婚姻の経緯
  • 日本での活動内容

などです。

以前の申請書類が確認できない場合、開示請求をして過去の内容を確認することがあります。

2.以前の申請を別の人に任せていた

例えば、

  • 前回は勤務先が全部手続をしていた
  • 以前は別の行政書士や申請取次者に依頼していた
  • 配偶者が書類を作っていたので、自分では詳しい内容が分からない

といったケースです。

本人としては同じつもりでも、過去の申請書と今回の申請書で、勤務開始時期や仕事内容、職歴などの記載が違っていることがあります。

そのため、新しい申請をする前に過去の内容を確認しておくことがあります。

3.過去の申請と今回の申請の「整合性」を確認したい

行政書士として、開示請求が特に役立つと感じるのがこの場面です。

在留資格申請では、1回の申請だけを見るのではなく、過去から現在までの経緯が重要になるケースがあります。

例えば、以前の申請では、

「2018年からA社で勤務」

と記載していたのに、今回の申請では、

「2019年からA社で勤務」

となっていたらどうでしょうか。

単純な記憶違いかもしれません。

しかし、審査する側から見ると、

「どちらが正しいのだろう?」

という疑問が生じる可能性があります。

もちろん、過去と現在で事情が変わっていること自体は問題ではありません。

重要なのは、

なぜ記載が違うのか説明できること

です。

4.不許可になった申請内容を確認したい

在留資格の変更や認定申請などが不許可になった後、

「前回、実際にどのような書類を提出していたのか確認したい」

という場合にも、開示請求を検討することがあります。

ここは注意が必要です

開示請求をすれば、不許可理由がすべて書かれた資料をもらえるというわけではありません。

開示請求は、あくまで入管が保有している本人の個人情報について開示を求める制度です。

不開示情報に該当する部分がある場合には、その部分が開示されないこともあります。

そのため、不許可後の対応では、

  • 不許可理由の確認
  • 実際に提出した書類の確認
  • 申請内容と実態の確認

などを分けて考えることが大切です。

開示請求では何が確認できる?

地方出入国在留管理官署が保有している本人の個人情報について、過去に行った在留関係の手続で提出した資料などを対象として開示請求することができます。

例えば、過去の申請について、

  • どのような申請書を提出していたか
  • どのような内容を申告していたか
  • どのような添付資料を提出していたか

などを確認する目的で利用することがあります。

ただし、実際にどこまで開示されるかは、請求した情報や個別の資料によって異なります。

「出入国記録」を確認したい場合は別の開示請求があります

ひとくちに「入管の開示請求」といっても、種類は一つではありません。

例えば、

「昔、日本から出国した日を確認したい」

「何年何月に日本へ入国したか分からなくなった」

という場合には、出入(帰)国記録の開示請求という別の手続があります。

また、旧外国人登録制度の時代の記録については、外国人登録原票の開示請求という制度もあります。


何を確認したいのかによって、使う開示請求の種類が違います。

開示請求のやり方

過去の在留資格関係の申請資料などを確認したい場合は、基本的に次の流れで手続を進めます。

1.まず「何を確認したいのか」を整理する

最初に大切なのは、いきなり開示請求書を書くことではありません。

何の記録が必要なのかを整理することです。

例えば、

  • 前回の「技術・人文知識・国際業務」への変更申請を確認したい
  • 以前提出した配偶者ビザの申請書類を確認したい
  • ○年頃に行った更新申請の資料を確認したい

というように、対象となる申請や時期を整理します。

請求内容が曖昧だと、必要な資料を特定しにくくなります。

2.どの入管が保有している情報なのか確認する

地方出入国在留管理官署が保有する個人情報の開示請求は、その情報を保有している官署に対して行います。

過去に手続をした支局・出張所等がある場合には、その官署を管轄する地方出入国在留管理官署が提出先となることがあります。

「今、東京に住んでいるから東京入管に出せばよい」とは限りません。

過去にどこで手続をしたのかも確認しておきましょう。

3.「保有個人情報開示請求書」を作成する

出入国在留管理庁のホームページには、開示請求用の様式が用意されています。

所定の「保有個人情報開示請求書」に、

  • 請求者の氏名
  • 住所
  • 連絡先
  • 開示を求める個人情報

などを記載します。

このとき、

「自分に関する資料を全部ください」

と漠然と記載するのではなく、必要となる申請や時期などをできるだけ整理して記載することが重要です。

4.本人確認書類などを準備する

開示請求では、本人確認が必要です。

本人が窓口で請求する場合と、郵送で請求する場合では、必要になる確認書類が異なる場合があります。

また、本人が未成年者・成年被後見人の場合の法定代理人や、任意代理人による請求も制度上認められています。

代理人が請求する場合には、委任状などの必要書類も確認する必要があります。

5.手数料・返信用封筒等を準備して提出する

開示請求には、所定の手数料が必要です。

また、郵送で開示資料の写しを受け取りたい場合には、返信用のレターパックや、必要な郵便切手を貼った返信用封筒などを準備します。

開示される資料の量によっては、郵送料が追加で必要になることもあります。

手数料や必要書類、郵送方法などは変更される可能性があります。実際に請求するときは、出入国在留管理庁の最新案内をご確認ください。

すぐに資料がもらえるわけではありません

開示請求をすると、その場ですぐに過去の申請書類を受け取れるわけではありません。

出入国在留管理庁の案内では、開示決定等は法律上、原則として開示請求があった日から30日以内に行うこととされています。

ただし、実際に開示されるまでの期間は案件によって異なります。

「来週、在留資格の申請をしたいので、それまでに開示資料がほしい」
というスケジュールでは間に合わない可能性があります。

必要性がありそうであれば、余裕を持って請求しておくことをおすすめします。

開示請求すると「全部」見られる?

ここもよく誤解されるところです。

開示請求をすれば、入管が持っている情報がすべて、そのまま開示されるわけではありません。

個人情報保護法では、開示請求者本人以外の個人に関する情報など、一定の「不開示情報」が定められています。

不開示情報とそれ以外の部分を分けられる場合には、一部が黒塗りなどになった状態で「部分開示」されることもあります。

そのため、

  • 黒塗りになっている部分がある
  • 欲しかった情報がすべて確認できなかった

ということもあり得ます。

行政書士として特に注意したいポイント

開示請求は便利な制度ですが、開示された資料を見るだけで終わってしまっては十分ではありません。

重要なのは、

「過去の申請と、今回の申請を比べてどうなのか」

を確認することです。

過去と違うこと自体が問題なのではありません

例えば、

  • 以前は会社員だったけれど、現在は経営者になった
  • 以前は独身だったけれど、現在は結婚している
  • 以前とは勤務先も仕事内容も変わっている

ということは当然あります。

大切なのは、

過去の申請と内容が違う=ダメ、ではない

ということです。

問題になりやすいのは、同じ事実について説明が食い違っているのに、その理由を説明できない場合です。

開示資料を確認した結果、過去の記載に間違いがあったことが分かったのであれば、今回の申請では単に違う内容を書くのではなく、必要に応じて経緯を説明することも検討します。

開示資料だけで申請の可否を判断しない

もう一つ注意したいのが、

「以前、この内容で許可されたから今回も大丈夫」

という考え方です。

在留資格の審査では、

  • 現在の法令・審査基準
  • 今回の仕事内容
  • 会社の状況
  • 本人の在留状況
  • 前回申請から変わった事情

なども関係します。

過去に許可された書類は参考にはなりますが、今回の許可を保証するものではありません。

以前の申請書をそのままコピーして提出するのではなく、現在の状況に合わせて申請内容を整理する必要があります。

こんなときは開示請求を検討してみてもよいかもしれません

  • 過去の申請書類が手元に残っていない
  • 前回申請を別の人に任せていて内容が分からない
  • 学歴や職歴について以前どう記載したか覚えていない
  • 配偶者関係の申請で以前の説明内容を確認したい
  • 長期間日本に在留していて過去の申請回数が多い
  • 新しい在留資格に変更する前に申請履歴を整理したい
  • 不許可となった申請で、提出した内容を改めて確認したい

一方、申請直前になって開示請求をしても間に合わない場合があります。

必要性がありそうであれば、早めに検討しておくことをおすすめします。

よくある質問

Q.自分以外の人の申請書類も開示してもらえますか?

A.基本的には、自分自身の個人情報について請求する制度です。

他人の個人情報について、そのまま自由に取得できるものではありません。

Q.行政書士に依頼した場合でも開示請求できますか?

A.制度上、任意代理人による開示請求も認められています。

代理人による請求では、委任関係を確認するための書類などが必要になります。

Q.開示請求をすれば、不許可理由が分かりますか?

A.必ず分かるとは限りません。

開示請求は本人について入管が保有している個人情報を開示する制度であり、不許可理由をすべて説明してもらうための手続ではありません。

Q.昔の出入国の日付を確認したい場合も同じ請求ですか?

A.別の開示請求があります。

過去の日本への入国・出国の日付を確認する場合には、「出入(帰)国記録」の開示請求を利用します。

まとめ|過去の申請が分からないときは「推測」で書かない

在留資格申請では、現在の状況だけではなく、これまで入管にどのような内容を申告してきたのかが重要になることがあります。

過去の申請書類が手元になく、

「たしか、こう書いたと思う」

「昔のことなので覚えていない」

という状態で新しい申請書を作ると、意図せず過去の申請と食い違ってしまう可能性があります。

そんなときに利用できるのが、保有個人情報の開示請求です。

ただし、開示請求をすれば何でも分かるわけではありません。不開示・部分開示となる情報もあり、不許可理由をすべて確認するための制度でもありません。

行政書士として大切だと考えるのは、

開示資料を集めることそのものではなく、そこから過去と現在の状況を整理すること

です。

過去と記載内容が違う場合には、

  • どちらが正しいのか
  • なぜ違っているのか
  • 今回の申請ではどのように説明するのか

を確認したうえで、申請全体に矛盾がないよう準備することが大切です。

過去の申請内容が分からないからといって、記憶だけで書類を作らない。

必要に応じて開示請求を利用しながら、申請準備を進めることをおすすめします。


過去の在留資格申請が分からず、お困りではありませんか?

「昔の申請書類が手元に残っていない」

「前回何を書いたのか分からず、今回の申請が心配」

「不許可になった申請内容を一度整理したい」

このような場合は、お気軽にご相談ください。


在留資格・外国人雇用・各種許認可でお困りの方は、エール行政書士法務事務所までお気軽にご相談ください。
状況に応じて、必要な手続や注意点を丁寧にご案内いたします。


出典・参考:

出入国在留管理庁「情報公開・個人情報保護」


https://www.moj.go.jp/isa/disclosure_privacy.html

出入国在留管理庁「地方出入国在留管理官署が保有する個人情報の開示請求について」


https://www.moj.go.jp/isa/publications/privacy/region.html

出入国在留管理庁「出入(帰)国記録の開示請求について」


https://www.moj.go.jp/isa/publications/privacy/record.html

出入国在留管理庁「個人情報保護法に基づく処分に係る審査基準」


https://www.moj.go.jp/isa/content/930001777.pdf

※開示請求の必要書類、手数料、郵送方法、提出先等は変更される可能性があります。実際に手続を行う際には、出入国在留管理庁の最新案内をご確認ください。また、開示される内容は個別の請求内容等によって異なります。